Research

研究概略

Research


1. 内視鏡外科手術における教育、トレーニング、技術評価に関する研究開発

外科手術を安全かつ確実に行うためのアプリケーションを開発し、社会実装するための研究テーマである。これは私のライフワークであると考えている。

「上手いとは何か」を解明し、外科手術の技術を評価し体系化すること

光・磁気センサや術中動画を用いた外科医の手術中の動作解析による手術技術の評価および手術工程解析である。本テーマでは信号処理の応用として術具の動作軌跡の解析にカオス解析を用いたり、画像処理技術を用いたりして術具の動作認識解析を時系列的に行った。このことにより、熟練者から初心者までの手術動作の特性を明らかにし、数値化し、評価指標を構築した。多岐にわたるパラメータに対し、AIを用い最適な評価軸の組み合わせを提案した。手術工程解析の研究では、レンヌ第2大学のPierre Jannin教授と国際共同研究を実施している。

「上手くなるためにはなにをすればいいのか」を明確化し、そのためのアプリケーションを開発すること

前述の技術評価手法から、上達のためのタスクを考案し、九州大学病院内視鏡外科手術トレーニングセンターにおける各種トレーニングメニューとして採用された。また、縫合結紮に関する手術シミュレータを㈱京都科学と共同開発し、上市に至った(主要論文1)。本シミュレータはUCDの考え方に基づいて設計され、多くの外科医から高評価を得ている。内視鏡外科学会において本シミュレータを用いエンターテイメント性を高めたハンズオンセミナーやコンテストを実施した。

本テーマにおいて学部生および博士課程後期の指導補助を実施し、国際学会発表2、論文3 (和文1、英文2)および学会賞3 (国内1、国際2)の成果を得た。



2. 手術ナビゲーション・シミュレーションに関する研究開発

Augmented Realityを用い、CTから抽出した病変部位をリアルタイムに重畳する膝関節鏡手術ナビゲーションシステムを開発した。光学センサマーカを術具に取り付けるための滅菌対応治具を設計し、臨床試験を行った。また、膝関節置換術において術前計画に用いるMRI画像と実際に切除した軟骨のサイズの比較し、術前シミュレーションの正確性を検証した。





3. 手術ロボット開発における精度仕様決定に関する研究開発

上述の研究で得られた技術を応用し、手術ロボット開発における精度仕様を決定するための研究を実施した。特定の手術手技における熟練医と初期研修医の施術精度を計測し、手術に求められる精度と、技術を伴わない外科医の手術精度のブレを考慮し、手術ロボットの要求精度を決定した。